二世帯住宅で失敗しないためには

新築で注文住宅を建てる場合、二世帯住宅の良さが再認識されてきています。夫婦単位で暮らすよりも、大勢の家族が集まって暮らすほうが暮らしやすい面があります。
戦前までの日本社会は大家族で一つの家に住むのが一般的でした。戦後の高度経済成長と共に状況は激変し、夫婦単位で暮らす世帯が増加し、この流れは長く続きました。しかし、近年の社会情勢の変化により、二世帯住宅で暮らした方が好都合な場合も増えてきました。

少子高齢化による親の介護や子育てには二世帯で暮らした方が効率的です。
終身雇用を維持してきた日本の企業も、情勢の変化から実力主義による雇用契約に変わろうとしています。頼るべき会社があてにならない状況下では、大家族による共同体の形成は、生き残るために必要なことです。
この社会情勢の変化は、新築住宅のあり方にも大きな変化をもたらしています。新築の時点で二世帯住宅にするか、将来の状況により、二世帯で住むのが可能な間取りにするかの違いはあるものの、多くの人々が二世帯住宅を求めるようになってきました。二世帯住宅でうまく暮らすための注文住宅の建て方は、親の世代と子の世代の関係性を、そのまま住宅のかたちに反映させることです。
逆に、両者の関係性が住宅の形に反映されていない場合は失敗することになります。もはや、戦前の家という共同体をすぐに取り戻すことは難しく、個人としてバラバラになった日本人の社会との関わり方を、家族を通して少しずつ大きな共同体へ作り変える過程が今の二世帯住宅です。

二世帯住宅にはいろいろな方法があります。
メゾネット形式のアパートのように、住戸の間に壁を設け、二つの世帯を分ける方法、1階を親夫婦、2階を子供夫婦とそれぞれ別れて住む方法があります。
また、玄関は一つにしてホールを挟んで右側と左側に世帯が別れて住む方法や、玄関はそれぞれ別に作り、家の中に行き来のできる廊下を設ける住み方もあります。
玄関もキッチンも一つにして、二世帯が共同で食事をつくる、本格的な二世帯住宅もあります。
新築であれば形はいくらでも自由につくれます。問題は世帯間のそれぞれの住み方に対する考えに違いがある場合です。両者の考えが違う状態のまま注文住宅を建てるのは失敗の元になります。両者の関係をどのようにするのかや、プライバシーをどこまで認めるかを、新築の前に統一しておく必要があります。
いずれにしても共通して必要なのは、1階に親夫婦が単独で暮らせる部屋を設け、トイレと浴室、ミニキッチンを近くに設置しておくことです。