高齢化社会を迎えた日本では、平屋の重要性は増すばかりです。全ての部屋が1階に位置することで、高齢者でも安心して家の中を移動することができます。便利なのは高齢者ばかりでなく、小さな子供のいる家庭でも、安心して子供の行動を見守ることができます。住み安さの多い平屋住宅でも、建て方を誤ると、失敗につながることがあります。
注文住宅は、好きな間取りにすることが可能です。平屋住宅では全ての居室を南向きにして、日の光を浴びながら暖かくすごしたいと考えて当然です。窓からは自慢の庭の光景が見え、緩やかな風が室内に吹き込めば最高の居住空間となります。しかし、平屋の居住性を十分に発揮するためには、広い敷地が必要です。広い敷地があれば住宅を2階建てする理由はなくなります。とは言え、街の中では理想的な広い敷地はめったにありません。住宅地の中に平屋を建てた場合に、思わぬ失敗をすることがあります。
そこに住む家族が少人数の場合、新築では平屋にするか、2階建てにするか迷ってしまいます。2階建てにすべき場所で平屋を選んでしまうと失敗することがあります。居間や洋間、和室などの普段生活するための居室は、南向きにするのがベストな選択です。居室には日の光が必要だからです。もし、南面に居室を全部並べられなければ、南側から日が入らない位置に居室をつくらなければなりません。日の入らない位置に、通常生活する居室をつくらなければならないのは、そもそも失敗と言えます。必要な居室が南面に並ぶかどうかが、平屋にするか、2階建てにするかの判断の分かれ目になります。
平屋に起きやすい不都合に、プライバシー問題と騒音の問題があります。2階建ての場合は寝室は2階につくることが多く、隣の家から覗かれる心配はありません。住宅地での平屋の場合は、隣の家から寝室が覗かれる心配があります。実際に覗かれるかどうかh別にしても、覗かれるかもしれないという心配は消えず、窓やカーテンを閉じきった、不健康な住み方となってしまいます。道路際に居室がある場合、クルマや人の往来による騒音や振動が気になるものです。平屋にする場合は、道路際に居室をおかない配慮が望まれます。
2階建てで寝室が2階にある場合は、防犯はさほど気になりません。泥棒が入った場合でも、鉢合わせする可能性が少ないので、平屋よりは安心していられます。平屋の場合は防犯が特に気になります。ちょっとした物音で泥棒ではないかと気にかかり、安眠できない場合もあります。平屋の場合は外部から見通しのよい位置に寝室を設けるなど、防犯上の配慮が必要となります。